書評:ドキュメントパナソニック人事抗争史

少し前に読んだ本です。

 

まあ、色々と社内で権力闘争が繰り広げられて、そらぁ、サムソンやLGに

抜かれるわ、という感じです(あきれてしまうような権力闘争が実名で書かれて

おりよく取材されているなと感心しました)。

 

主な失敗

・せっかく手に入れたMCA(映画会社 現NBCユニバーサル)も谷井(4代目社長)

 路線の否定という理由で 手放してしまった。(手放すまでに、ユニバーサル

 スタジオの建設計画も蹴飛ばしている。ただし、松下がUSJを手がけていたとして

 も、松下から天下りで社長を派遣したりしていれば、今のような大成功があったか

 どうかは疑問だが)

・1995年に液晶開発からブラウン管にシフト

・プラズマ1点集中で失敗

 

 ちなみに、私「課長島耕作(部長~も含め)」全て読んでますが、松下がモデルに

なっているだけあって、この本にある出来事が色々と出てきます。

 

印象に残った話

・MCA買収の特命チームの女性が買収成立後に松下からMCA社長のワッサーマンに

 送った手紙を作成。その手紙の最後を「お楽しみはこれからだ」という台詞で

 締めくくった。これを読んで、ワッサーマンは「松下には、本当に映画の心が

 わかる人がいる」といたく感動したそうです。

 この「お楽しみはこれからだ」というのは、映画「ジャズ・シンガー」で無声

 映画からトーキーに切り替わった最初のスクリーンで観客に向けて発せられた

 映画史上に残る台詞。

 今ならインターネットで「映画 名言」などで調べればすぐに出てくるかも

 しれないが、当時(1990年)はそんな事は無理な時代で、よほど映画に詳しく

 ないと松下とMCAの関係の始まりにふさわしいこの台詞を盛り込むことは出来な

 かったでしょう(残念ながらこの女性は31歳という若さでガンで亡くなられまし

 た)。

 「お楽しみはこれからだ」は日本語訳で、英語のセリフは「Wait a minute, wait a

 minute. You ain't heard nothin' yet! 」直訳すると「待ってくれ、君はまだ何も聞い

 てないんだぜ」。アメリカ映画の名セリフベスト100の71位(意外と低いね)。

 1位は「Frankly, my dear, I don't give a damn.(俺には関係ない)」で風と共に

 去りぬの台詞。風と共に去りぬとかも見てませんね。このレベルの映画は知らないと

 教養がないってことになるよね。8位は「May the Force be with you.」。これはわか

 りますよ。

 

 

ドキュメント パナソニック人事抗争史 (講談社+α文庫)

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