書評:サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい

筆者(三戸政和さん)はソフトバンク・インベストメントベンチャーキャピタリストとして活躍。2016年に日本創生投資を創設してバイアウト投資を行っている方。

 

要約: 個人に会社を買えというのは突拍子もない発想のような気もするが、筆者自身の経験(千三つといわれるベンチャーキャピタル)から、起業するよりも会社を買収して経営する方が成功する確率が高いとすすめる。

 

中小企業買収をすすめる理由

  1. 起業は難しい
  2. サラリーマンの経験が活かしやすい
  3. 飲食店経営はレッドオーシャン
  4. 今後廃業する企業が多い(買い手市場)

 

1.起業は難しい・・・0から1(会社を立ち上げたり、新しいサービスをゼロから作ってそれを小さな規模であっても軌道に乗せる)にするのは、1を10に大きくするよりも難しい。ソフトバンクの孫さんも0から1にするのは得意ではなく(あるいは難しいのを知っていてやらない)、1を10や100にする事に力を注いでいる。(ボダーフォン、YAHOO、アーム、スプリントなど)。

ゼロイチ起業で一番有名なのはイーロン・マスクかな。宇宙開発(スペースX社)や電気自動車(テスラ)、次世代交通システムのハイパーループなど、企業家(起業家)というよりはあふれんばかりの才能で常に夢を追いかける発明家タイプかな。

 

 

2.サラリーマンの経験を活かしやすい・・・社長経験がある人はほとんどいないと思うが、40~50代のサラリーマン(特に大企業の管理職)で10~50人程度の組織をマネジメントしている場合、それは規模的には中小企業とほぼ同じであり、中小企業を経営できる資質は十分に持っているということ。

また、中小企業ではシステム化が全然進んでいないなど旧態依然の場合が多くあり、大企業では当たり前の仕組み(システムその他)を導入するだけでも効率が大幅に向上することも多い。

 

3.飲食店経営はレッドオーシャン・・・企業・独立といえば初めに思い浮かぶのが飲食店経営だが、飲食店経営は非常に難しい。周辺の環境が変わったとしても(同業が増えて激戦区になったとしても)、容易に場所を変更する事が出来ない。

 

 

4.今後廃業する企業が多い(買い手市場)・・・後継者不足で悩む企業も増えているし、昔はトップシークレットだった売り手(会社を売りたいという案件)の情報もネットその他で容易に手に入りやすくなっている

 

ホリエモンなんかも「会社がイヤなら辞めて自分で会社を作ればいい」ってよくいっているし、昔に比べたら起業する事に対する抵抗感もなくなっているし、ベンチャーが上場したりするケースも増えているだろうけど、実際に創業後10年間生き残る企業は25%程度。とても簡単なものではない。ただし、創業後10年以上の企業が翌年も生き残る可能性は90%以上。であれば、自分で起業するよりも、創業後10年以上の企業を買収してその企業を経営する方がうまくいく可能性が高いということ。それで、出来れば全く畑違いの業種じゃなく、自分の経験のある業界など(つまり今の自分の会社につながりのある)方がより成功する可能性が高い。

 

 今自分が勤めている会社を利用して買収する方法などもやり方として紹介されていたが(それは中々難しいような気もしたが)、定年間際になって、慌てて考えるのではなく、40歳位から定年後の働き方を考える上で選択肢の一つとして、そのままではなくてもその考え方を利用することは可能なんじゃないかとも思いました。