教訓:技術者(あるいはなんらかの専門職)として優秀ながらも世渡りが下手と自認するならば、自分にとっての木戸孝允(桂小五郎)を見つけよ
司馬遼太郎さんの著書は大学時代からいくつか読みました(坂の上の雲、燃えよ剣、翔ぶが如く、峠など)。
この本の主人公は大村益次郎で、知名度的にはそれほど高くない(坂本龍馬とかと比べると)人物ですが、中々に個性的で面白い人です。
おそらく今でいう発達障害だったんでしょう。適塾という日本中の秀才たちが集まる蘭学の私塾で塾頭を務めるまでの優秀な人物でありながら、今でいうコミュニケーション能力に問題があって、医者として帰郷したものの、郷里での医者としての評判は悪かったようです。
医者としては駄目だったものの、豊富な蘭学その他西洋の知識(兵学、化学)を評価されて宇和島藩~幕府~最終的に長州藩に兵学者として、長州征伐~戊辰戦争を指揮して、長州の勝利に貢献した。
この本自体は私が学生の時によんで、それなりに面白かったんですが、それ以上に会社(組織)で生きていく上ですごく参考になるとなったのが、NHK Eテレ「先人たちの底力 知恵泉」で「益次郎の元祖「理系男子」的生き方」というテーマで放送した中で、放送の結論(まとめ)でした。
結局、コミュニケーションが下手な大村益次郎が兵学者として活躍できたのは、桂小五郎がその才能を評価したからであって、技術者として確かな技術をもちながらも世渡り(社内政治)が苦手であるならば、せめて自分の能力を評価してくれる自分にとっての桂小五郎を見つける事が、自分が組織の中で活躍するためには重要なのではないかという結論が、世渡りが下手で40代半ばまで来てしまったしがないサラリーマンの私の心にも響きました。
20代30代の技術者なら、いくら自分に技術があってもそれを過信するのではなく、自分の技術(能力)をわかってくれる理解者(出来るだけその組織内で地位の高い)を見つけることにも少しだけ努力してみてはどうだろうか?
http://s-igaku.umin.jp/DATA/64_05/64_05_01.pdf